Podcastの基礎知識

コーヒー主観のポッドキャスト総論

2-3.多様化するプラットフォーム

執筆者 | 2021年11月24日

2-3.多様化するプラットフォーム

 

 Business Insider2021年4月20日「アメリカのリスナー数は1億670万人を突破。ポッドキャストの市場予測と広告費:eMarketerレポート」によると、音声配信先進国のアメリカでの配信プラットフォームシェアにおいて2019年はアップルが1位で26%、Spotifyが2位で15%、YouTubeが3位で14%となっています。2020年はSpotifyが20%と大きく数字を伸ばしていて、Apple一強体制に揺らぎの可能性が出てきています。

 参照URL https://www.businessinsider.jp/post-233400

 Appleの状況はそのままに、Spotifyがリスナーの裾野を拡げているという見方もできます。サブスクリプションサービスで大きく成長してきたSpotify等の音楽配信サービスがPodcastの取り込みに本腰を入れてきた事が関係しているように思います。またマネタイズに対する積極性も影響があると考えられていて、聴取者に対しては利便性とコンテンツの豊富さを、配信者に対しては配信しやすさと収益性を提供することでシェアを伸ばし、広告事業で体制強化を図りたいプラットフォーマーの思惑が感じられます。

 現在のメジャーな配信プラットフォームをいくつか抜粋しました。特にどのプラットフォームが突出して成長しているというお話しではありません、プラットフォームの全体像的にご覧下さい。

  • Podcatとしてのプラットフォーム
    • Apple Podcast
    • Spotify
    • anchor(Spotifyが買収)
    • Amazon Music
    • Google Podcast

 プラットフォームとしてのPodcastは収益化、つまりマネタイズが大きなキーワードとなっていて、各プラットフォームは収益化の仕組み導入に向けて、またはその成長に向けて努力を続けています。

 Apple はRSSによる配信の他、新たに管理画面のPodcast Connectからの音声ファイルアップロードに対応しました。これはPodcastのサブスクリプションサービスを導入する為に必要だった手法で、サービス開始当初は不具合も多く日本における利用はまだまだ進んでいない状況でした。ポトフさんにお話しを伺ったところ、2021年11月1日現在ではだいぶ問題も解消されて来ているそうです。

 音声サブスクリプションサービスとして広く認知されているSpotifyはPodcastの配信管理に関して言えば使い易いとは言いにくい。Podcast配信サービスとして定評のあったanchorを2019年約150億円で買収したことにより、Spotifyは欠点を補う動きをみせています。音声ファイルのアップロードから編集、BGMやジングルの追加まで行えるanchorは現時点でもっとも使い易いPodcast配信方法の1つで、「anchorで始めない理由はない」と言えるほどですから、Spotifyの戦略は的を射ていたと思います。

 Amazon MusicとGoogle Podcastはプラットフォーマーとしての参入はしたものの、しばらくは積極的に利便性を向上させるアクションを取っているようには感じられませんでした。ただし、Googleは音声配信を文字起こしする事でテキスト検索出来るようにすると宣言して実行に移しています。また2022年Japan Podcast AwardにはAmazon Musicが賞を設定しており、今後も両者のPodcastに帯する動向が注目されます。

  • 音声SNSとしてのプラットフォーム
    • Clubhouse
    • Spaces(twitter)
    • Spoon
    • Facebook

 2021年上半期において音声SNSとしてもっとも存在感があったのはClubhouseだったのではないでしょうか。アプリケーションの不具合やサーバー運用上の課題を洗い出す、つまりオープンβ的な位置づけがあったであろう「招待制」が日本では話題を呼び、招待権がフリマアプリで取引された程の白熱ぶりを見せました。
 「アーカイブに残さない」というコンセプトが現在の「失言即炎上」の社会構造に疲れた芸能人や著名人に魅力的に映り当初から有名人の参加が盛んにおこなわれたのも特徴的です。規約上も許可の無い録音は禁止とされていたが、守られるはずもなく違法な録音が行われたり、文字起こしにより、その場限りのコンテンツが漏れ出しClubhouseの人気に水を差した感も否めませんでした。
 現在は一時の白熱振りは落ち着きをみせています。Clubhouseが音声SNSにもたらした影響は大変な者でしたが、いまは次の一手が待たれている状況です。

 SpacesはClubhouse的な機能として2021年twitterに実装されました。テキストコミュニケーションとしてのtwitter本機能との親和性は現時点では良いとは言えず、ClubhouseやStand.fmの様に新たなアカウントを作成する必要が無い為、利用開始のハードルが低いのが特徴です。
 Clubhouseと比較すればじわりとしたスタートとなったSpacesですが、2021年11月現在、利用者人口が増えてきていると実感しています。Facebookも音声配信に参入すると発表していて、今後の展開から目が離せません。

  • 音声配信サービスとしてのプラットフォーム
    • Voicy
    • stand.fm
    • Radiotalk
    • Audiobook
    • Himalaya(音声配信から撤退)

 Podcastの収益化に最も熱心だったのはHimalayaに代表される新興サービスでした。他のプラットフォームで配信されている番組を必死で収集し、独占配信化の交渉を盛んに行っていました。私の所にも再三オファーが来ていましたから、番組の人気を問わず声を掛けていたのでしょう。そもそも収益化が最大の目的でその手段が音声配信だったというだけの話で音声配信に対する意識は高くなかったのでは?と私は感じています。この資料をまとめる際に改めてウェブサイトを訪問したところHimalayaについては音声配信からの撤退が掲載されていました。

 独自性を打ち出しているサービスもいくつかあります。Audiobookは「聞く読書=オーディオブック」、Radiotalkとstand.fmは「スマホで多人数録音から配信まで完結。」、Voicyは「クリエイターを選抜する事でコンテンツ全体の質を担保する」など、独自性を据えた展開をしている印象があります。

 Radiotalkとstand.fmは似たようなプラットフォームに成長しています。Radiotalkは当初ライブ配信には非対応で、収録配信の「トーク機能」は制限時間12分という仕様になっていました。現在は「ライブ配信」に対応しており、30分を基本単位としてリスナーから延長チケットを受け取ることで延長ができるTwitcastingと同様の仕組みを採用しています。

 stand.fmの運営会社「株式会社stand.fm」は2020年4月1日に設立された非常に若い会社でライブ配信と収録配信のどちらにも対応し特に時間制限はありません。スマートフォンアプリ1つで収録、配信ができ、聴取者とのコメントコミュニケーションがコンパクトにまとめられています。収益化のサービス提供も始まり、今後が楽しみなプラットフォームの1つです。

  • インターネットラジオとしてのプラットフォーム
    • radiko
    • ラジオクラウド(TBSがPodcastを撤退して創設)
    • NHKラジオ らじる☆らじる

 同じ時間帯に同じ番組を異なる形式、媒体で放送する事を「サイマル放送」といいます。地上波テレビ放送で例えるとフルセグ放送とワンセグ放送がサイマル放送の関係性にあります。インターネットを利用したサイマル放送、「IPサイマル放送」をラジオの世界で活用したのがradiko.jpです。

 Digital Shift TimesDigital Shift Times2021年7月8日「 その変革に勇気と希望をDX戦略コロナ禍でラジオが復権!? 民放ラジオ業界70年の歴史を塗り替えたradiko(ラジコ)の「共存共栄型 DX」とは」によると、2010年3月にサービスを開始したradiko.jpの月間アクティブユーザー数はコロナ禍以前でも750万人、コロナ禍以降は900万人に増加したと言われています。

 参照URL https://digital-shift.jp/dx_strategy/210708

 Podcastでの収益化を10年に渡り試み続けたTBSラジオは運営コストが回収できないとし、2016年6月30日をもってPodcast事業から撤退。翌年ラジオクラウドという独自の音声配信サービスを開始しました。博報堂DYメディアパートナーズが運営を行うラジオクラウドは2020年にはアプリのダウンロード数110万件を突破しています。

 このカテゴリは商業放送のネット化であるため一般の配信者が利用できるプラットフォームではありません。


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